研究開発に見た遠回りの結論にあきれる -水素エンジンと点火装置-


2015年2月22日日曜日

不定期連載 数式を使わない、クルマの走行安定性の話・9/17


リヤサスが作動しなくても問題を感じなかったレーシングマシン

FWDにおけるフロントWウイッシュボーン・サスペンションの採用は、リスクが多すぎる。構造上で考えると、設計値どおりに長年にわたり作動させることが不可能である。ブッシュの劣化、ダンパーの劣化、ボールジョイントの磨耗、アームの劣化などによってジオメトリーが狂う。

いくら等長のドライブシャフトであっても、加速、減速によってエンジンの傾きが発生すれば、等長なんて関係なく、ジョイントの左右角が変化し、トルクステア(どのような状況でトルクステアが発生するかの分析が出来ているので、今では死語)が加速時でも、減速時でも発生する。これは前記のことと関係し易い。

Wウイッシュボーンでも、アンチダイブやアンチスクオート、ダイブダイブによるキャスターの増加など、複雑な動きに対する設計を追加しないなら、このような状態は発生しにくと考えるのだが。

クルマの自然な動きに反する作用をさせれば、当然その反撃に遭うわけで、正しい動きを持続するのが難しくなって当然。特にアッパーアームの強度と剛性、取り付け点における強度、剛性、精度も問題になる。

クルマの荷重をどこで受けるかも問題となる。サスペンションのアームで受けることはさけるべきである。考えてみれば当然のことで、荷重に対抗してサスペンションアームは曲げや捻りの外力が入る。サスペンションとして作動する以外の外力が加わり、ブッシュは思わぬ方向に変形し、ダイナミックアライメントばかりでなく、ジオメトリーまで悪い方向へ変化する。

こうなればブッシュのヘタリも早い。さらに、アームのボールジョイントにもクルマの荷重が加わることになり、摩耗が起きやすい。ただしWウイッシュボーンやマルチリンクでも、ストラットのような形で、ナックルに対してショックとスプリングを付けることにより、直接荷重を受けることができるし、プログレッシブに作動させることも可能だ。足回りの耐久性を考えて、このような設計を施したクルマもある。

日本車におけるサスペンションの非常に悪い点を見たことがある。それは、'89年のルマン24時間でのこと。ルーティングでピットに入ってきたマツダ・ロータリー。ドライバーチェンジ後に、スタートのOKを出そうと思ったメカニックが、なにげなくリヤフェンダーを見ると、何かで擦れた穴があることを発見した。

ピットの上からマツダチームを24時間張り付きで取材していた私も(実際には24時間ではなくレース当日早く起きてサーキットへ行き、レースが終わってホテルに帰って、メディア関係者と打ち上げだから40時間以上)、同時にそれを発見していた。タイヤで擦れて穴が開いたのだ。なぜそうなったのかというと、ダンパー&スプリングの取り付けボルトが脱落したからだ。ただそれだけ、と見てしまう人もいるが、そこには大きな問題が他にあったのである。

サスペンションのアームがどこかにぶつかって、ボディが路面を擦るようなことはなかったが、サスペンションとしての機能は果たしていないわけだ。にもかかわらずドライバーからは何もコメントがでていないのである。

つまり、このクルマにはリヤサスペンションは必要なかったのである。非常に情けないことだが、サスペンションスプリングは、ただの車高調整用のスペーサーでしかなかったわけだ。サスペンションが有ろうが有るまいが、クルマの操縦・走行安定性に変化がないなら、とてつもなく金と時間をかけてサスペンションを開発する必要はない。

このような状態を経験したマツダは、改良に成功し'91年のルマン24時間に見事優勝したのである。

ボディ剛性のなさがサスペンションとして機能していたとしたら、これほど情けない話はないが、たぶんそのとおりであると思う。あるいは、現在のF1のように、フロントサスペンションの動きを各チームごとに計算し制御して、タイヤやシャシー構造の特性から、一時期は作動させないで(年月によって変わっているので決め付けられない)、リヤのみに作動ストロークを造ることにより、バンピーな路面でのステアリング安定性と正しいダウンフォースを確保していることから、マツダREも、もしかすると、リヤの代わりをフロントが作動を受け持っていたのかもしれない。

グラチャン(グランドチャンピオンシップレース)をフジスピードウエイのバンクを使ってやっていた頃、現・筑波ガレージの社長・堀氏は、当時のサスペンションセッティングを見て、これなら、サスペンションなど必要ないと、自分でシャシーをサスペンションなしで造り、見事に優勝したのである。

2015年2月15日日曜日

今だから話そう:実は2007年、当時ホンダのF1開発関係者と:こんなやり取りをしていた 画像追加


ホンダがシャシーの開発まで行っていた前回のF1であるが、そのシャシー開発には未知な部分が多く、特にフロントサスペンションについては、苦労の連続であることを見て取れていた。

そこで、秘蔵していた“チャンピオンマシン・ルノー(アロンソのマシンと同型)のサスペンション内部構造を撮影した画像を、ホンダのF1関係者に送ったのだ。

アロンソがチャンピオンを取る前年のルノーF1マシン。サスペンションなどの構造はチャンピオンマシンと同じだという

これが証拠のルノーF1フロントサスペンション構造。この写真を撮影しようとしたのではなく、クラッチ、ブレーキペダルはどのように配置されているのか知りたくて、中を覗いたら、トーボードが外されていて、サスペンション構造が丸見えだったということ。エンジンは外されている、ということを関係者は言っていたので、もしかすると、ワイヤーハーネスと一緒になっているアクセルなどと共にトーボードも取り外さなければならない構造だったのかもしれない
 
それを踏まえて、以下のようなメールを出した

先日のルノーF1サスペンションいかがでしたか?

ところで、○月○日に、ホンダレーシングの発表会がありますが、ホンダF1シャシー担当者への質問として、フロントサスペンションはどうしているのか、以下のような質問をしてもよろしいでしょうか。

F1のフロントサスペンションは、かなり以前から作動させないほうがベストである、という結論が出て(F1ばかりではないと思うが)、フェラーリやルノーは、スプリングを持たない方式でやってきている。

完全リジッドではなく、圧縮側に作動するストロークを持たず、伸び側に僅かなストロークを持つだけ。

ホンダは、昨年の最終戦までは(はっきりしない)、スプリングを持つ方式でやってきたようだが、これでは、フロントウイングに対する空力が悪くなると考えられる。当然、空力だけではなく、操縦性の全てに関しても同様だと考える。

何故、さっさとスプリングレス方式にしなかったのか?更にルノーF1の2006年モデルでは。フロントについてはサスペンションを完全に作動させないリジッド方式を採用していたという話も聞くが、このような情報に対して、ホンダの今後の取り組みはどのようなするのか。

という、答えにくい質問をしようと思うのですが、いかがでしょうか?

このようなメールの返信は・・・・・・

 
F1マシンの発表会があることは承知していますが、このような込み入った、内容の濃い秘密の質問には答えてくれないでしょうし、質問しないほうがいいと思います。ややこしくなりそうですから。

ルノーのサスペンションは写真から詳細に分析中です。当然、作動のジオメトリーを含めてです。

さて、かなり気になっているホンダのフロントサスペンションですが・・・ルノーと同じようなレイアウトになっています。

現段階ではスプリングはまったくなく、圧縮側、伸び側はダンパーで考えています。

ただし、コースによっては縁石を使うことによるタイムアップを狙う観点から、過渡領域での空力変化を最小限に押さえ込むことのアイディアとして、トーションバーとスタビとの組み合わせでの効果を考えていることも事実です。

リジッドにした場合のストレートのバンピー路面での車体挙動の安定化、ダウンフォースのよる接地タフネスなど、サードダンパーの使い方などいろいろ考えているところです。

という返事が来ていたのである。当時、いかに右往左往していたか、よくわかる。今では、笑い話の部類だが・・・

そして、最近のマシンでは、フロントサスペンションの動きを、タイヤやシャシー剛性、リヤサスペンションとの絡みで、実にバランスよく作動させていることがわかる。作動させすぎのマシンはやはり性能が劣っている。

2014年チャンピオンマシンのメルセデスは、実に穏やかな動きで、そのスムーズな作動が素晴らしい。バランスのよさも見て取れる。このシャシーに勝てるマシンは出てくるのだろうか。無理だろうな~

2015年2月9日月曜日

コーナリングの癖が欠点ともいえるNC700Xだが、今ではマイバイクにしている。その理由と、よりよい物とする改良②


最後にやった改良は、ホーンボタンの位置

どういうものか、最近のホンダ大型バイクの大半が、ホーンボタンは方向指示器スイッチの上側にあり、形や力を加える方向からも使いにくい。というよりホーンが鳴らせない。

ホーンは緊急時に使用するものなので、親指が無意識に動く範囲にホーンボタンがないと、いざというときに役に立たない。

事実、これまでのツーリングでは、ホーンを鳴らし損ねたことが数回ある。事故に至らなかったのは、飛び出してきたクルマが、こちらから走るバイクを発見してくれたからであり、そうでなかったら事故。

アメリカのMVSS(モーター・ビークル・セーフティ・スタンダード)によるものなのか定かではないが、道路事情がアメリカとは違う。MVSSなんて無視すべき。確かに輸出仕様と同じにすれば、製造コストは下がるが、日本国内での安全性は担保されないと思う。

飛び出すクルマ、飛び出す人などはまずいないのがアメリカ。例え飛び出したとしても、道路の幅が広いので、十分に避けられる。

ハーレーの左ハンドルスイッチを見ると、確かに方向指示器スイッチ(スライドではなくプッシュするもので、右用は右のハンドルスイッチ部分にある)は方向指示器スイッチの上側だが、上下に長く親指が適当な動きをしても、ホーンボタンは無意識のうちに押せそうだ。

アメリカ・ハーレー
 

緊急時の押し易いホーンボタン位置は、一番下側であるのは当然の話。

欧州製バイクの左ハンドルスイッチを見ると、どのバイクも一番下側にホーンボタンがある。親指の守備範囲からすれば、ごく自然な位置であり、緊急時に使用するホーンのことを考えれば、当然で当たり前過ぎである。

ドイツ・BMW

イタリア・ドカティ

 

そこで、とりあえずアルミ板を加工して、ホーンレバー形状を作って使ってみた。親指を適当なところへ持っていっても、ホーンを鳴らすことが出来る。そして、これによる効果は一度経験したが、まだ納得できる状態ではない。

納得は出来ていないので、ガレージにあった適当な左ハンドルスイッチから、ホーンボタン部分だけを移植する作戦を慣行。

接点があるので。そこから延びるコードを確実に利用する。ただし、その接点を使うには、空間(ボックス)が必要になる。

つまり、既存のハンドルスイッチ部分でベストなところへホーンボタンを貼り付けるとなると、ハンドルスイッチに加工などの作業は最小限に止めたい。万が一のことを考えたときに、既存状態は絶対に必要だからだ。

ホーンボタンの接点を収めるボックスは、適当なプラスチックボックスから切り出して、接着剤により形を整える。それを、既存のハンドルスイッチ部分のベストな位置へ取り付けるには、そのハンドルスイッチの取り付ける部分の形に合わせる必要がある。

ピタリと形状が合っている必要があるため、ハンドルスイッチ側にアルミテープを貼り、取り付けるホーンボタンを組み込んだボックスに、アルミホイール修正パテを適量盛り付け、その状態からハンドルスイッチの、新しいホーンボタン取り付け部分に押し当て、パテ樹脂がある程度固まるまで放置。

固まってからパテが変形しないよう剥がし、更にハンドルスイッチ側に貼り付けておいたアルミテープも取る。

これで、パテが完全の硬化するまで放置し、盛り付けたパテの仕上げに移る。凸凹を修整するだけだが。

次は、ハンドルスイッチの中に組み込まれている接点に、新しく取り付けるホーンボタンからの配線コードを、正しい位置にハンダ付けする。

ハンダ付けがきれいに出来ないと、ショートなどのトラブルにつながるので、ここは注意して、小さなハンダごてを使って、1~2秒の作業で完成させることが重要。

ハンダで取り付けた部分には、トラブル防止を考えてビニールテープを貼っておく。

取り付けは、強力両面テープを使用。使っているうちに剥がれるようなら、両面テープを貼った上から工業用の瞬間接着剤で処理する。

これが完成した左ハンドル側のスイッチ。新たにホーンボタンを一番下の親指が自然に届く位置に取り付けた。既存のホーンボタンにもレバーを貼り付けた状態だが、これはいずれ取り外す
 

これで完成。ホーンボタンは納得の出来る位置に取り付けられた。万が一のことを考えて、既存のボタンはそのまま使える状態を保つ。

2015年2月8日日曜日

コーナリングの癖が欠点ともいえるNC700Xだが、今ではマイバイクにしている。その理由と、よりよい物とする改良①


コーナリングの強い癖は750になってほとんど解消しているが、700については前後タイヤを750と同じものに変更するまで、依然としてこの癖は残る。しかし、その状態を乗りこなすと、かなり楽しく、また、利点となり、スピーディであることがなんとなくわかってきた。ただし、走行状態のよっては疲労がたまるけれど。

では、何故このような癖の強いバイクを選んだのかというと、それは、270度クランクの2気筒で、更に左右シリンダーのバルブタイミングまで変更。それによる燃焼のアンバランス、回転のアンバランスによる心地よい鼓動、振動が好きで、100キロからの加速でもアンバランスな(もちろん気持ちの良い状態)鼓動から、グスグスという振動を尻から腰、背中にまで伝達する。これがたまらないからである。

乗るたびに新しい発見があることも、私にとってはNC700Xの魅力かもしれない。

もちろんそれだけではなく、普通のバイクなら燃料タンクとなる部分はフルフェイス・ヘルメットが入るほどのボックスとなっていること。

ここにツーリング用品を押し込んで出かければ“ツーリングです”状態を他人に悟られること無く、スマートに走りを楽しめる。更に燃費のよさもある。なんと、これまでの最高は38km/Lで、それまで乗っていた、燃焼改善しているXLR250Rよりも良いのである。

そして、このNC700Xを不満状態(コーナリングの強い癖意外)で乗ることは、許しがたく、安全・快適に乗るため少々の改良に着手した。

一番の癖である切れ込むコーナリングは、半尻落しのレーシングスタイルを取らなければいけない。そうなると直線では問題の無いフットレストが、表面にゴムを貼っていることで(正確には空間がありクッション性を持つ)、必要な踏ん張りが不安定になるのだ。こんなに癖の強いコーナリングでなければ、ゴムで中空のフットレストは、ツーリングバイクとしての感触は受け入れられるのだが。

この切れ込む癖からコーナリングを、自分のものとするには、しっかりとしたフットレスト形状が求められる。

つまり、半尻落しのライディングスタイルは、コーナリング中、外側のフットレストを抱え込むように踏みつけるため、ライディングブーツとフットレストは、確実に一体となった状態が要求される。

でも、最近のホンダ・スポーツバイクは、同じフットレスト形状で、中空ゴムを貼り付けたもの。つまり、グニャグニャなのである。

これでは信頼してフットレストを踏みつけることは出来ない。常に「裏切りに・・・」が頭から離れない。なお、タイヤ変更でこの問題点が解決されたNC750は1000キロ以上のツーリング走行で、気になる不安な状態は体験しなかったので、フットレストの変更はする必要がない。

この問題を解決するには、ゴムの貼っていないものと交換する以外には無い

調べてみると、幸い、この手のフットレストは、どれでも使えそうな感じであることがわかった。

ガレージの部品箱の中にそれらしきものを発見したのだが、右側しかない。同じ車種(CBR400R・NC23用)の左側を注文するためホンダ・バイクショップに出かけ、ネットで在庫を調べてもらったが、品切れ状態。

仕方がないので、オークションサイトから取り付け可能な、アルミ一体型のフットレストを購入。短い長さのためアルミの角棒をアルゴン溶接し、表面にギザギザ形状をヤスリで作り使用していた。

見た目は全体的に細いので多少頼りないが、安心性と実用性は大きく向上し、踏ん張るブーツはしっかりと安定した状態を作り出してくれている。

ほぼ満足状態でいたが、年明けのスワップミートでホンダ車の、アルミ一体フットレストを発見。1000円で購入し、調べて見るとCBR250R(MC17)用で、組み合わせ部分の形状(リターンスプリングを入れるところ。その後、耐久性に問題が出たのだろう、今の形状に変更された)が違うけれど、取り付けてみると、バランスが良い。

これがホンダ純正、CBR250R用で、リターンスプリングを掛ける位置と形は違うが、取り付けは可能だった。これで安心感が増した
上が標準のフットレスト。ゴムは中空でしっかり感はない。下は、オークションサイトから購入し、短いので溶接で長くしてからヤスリで加工したもの。使用感はいいが、見た目は少し頼りない
 
これでフットレストについては解決。でも、何故コストのかかるフットレストを取り付けているのだろうか。アルミに中空ゴム(振動対策?)を貼り付ける構造は、意味がないはずだが。

フットレスト周りでは、直接関係ないが、もうひとつ改造を行った。それは、ブレーキペダルのブーツと接する部分。

実はこれも、左側へ大きくリーンさせているとき、コーナーラインや速度調整で、僅かに使用するリヤブレーキの、ペダルにつま先を掛けているときに生ずる不安感を解消したいからである。

ライディングスタイルから、どうしてもブーツは前開きの状態でフットレストに乗る。同時にブレーキペダルに対しても、ペダルの先端(右の端)に引っかかる程度の位置を好む。

そうなると、ブレーキペダルは足の動きを確実に、そして常に受け入れるような接触状態が望まれる。そのときには、フットレストを踏み変えて、ブレーキペダルに対してベストな位置に移動すればいいのではないこと思われるが、踏ん張っているフットレストから足を上げたとたん、バランスを崩して事故?は十分考えられる。

なのでやりたくない。右足ブーツが踏みつける(自然に載っている)ブレーキペダルからスリップして外れないよう願うだけ。

これを解消するには、ブレーキペダルの先端に小さな出っ張りを作れば良いと判断

ピカピカ光って、つるつるのブレーキペダルを使用しているホンダバイク。見た目にはいいが、機能としてはどうなのか疑問が残る。

最初は溶接で小さな出っ張りをひとつ作ろうか、と考えたが、不都合なことになったら取り外すことを考えると、小さなビスをねじ込む方が良い、との結論となり、3mmのビスを取り付けた。ドライバーを当てるところは、丸ネジなので、ブーツが強く引っかかるようなことはないと判断した。

まだ、強くリーンさせなければならないコーナリングを体験していないので、良否はハッキリしないが、普通のコーナーで不都合は感じていない。不都合になったら現場で取り外せばいいのだから、そのあたりは使い勝手が良い。
ブレーキペダルの先端に滑り止めとして3mmのビスを取り付けた。これでの効果はまだ確認できていない
 

 

2015年1月28日水曜日

不定期連載 数式を使わない、クルマの走行安定性の話・8/17


一瞬のトー変化はクルマの挙動を乱さない

最近(といってもだいぶ前だが)でも同様のシステムを採用するクルマがある。それは、ジャガーXJ8などに見られるもので、一見するとリヤのロワアームは幅10cmほどのIアーム一本だけである。アームはデフの下の部分に取り付けられ、デフ側はもちろんブッシュによる取り付けで、サスペンションのスイングピボットになる。そしてデフはサスペンションメンバーに大きめのゴムブッシュを介して取り付けられている。

この構造であると一般的には、ハブがアームと一体で造られ、スイングアクスルのストラット構造でないと成立しない。つまり、がっちり結合されたものでないと、タイヤが倒れ込んでしまうが、ここもゴムブッシュによる取り付けで、ピボットになっている。しかしそれを押さえるストラットのようなものもない。さらに素晴らしいのは、ロワのIアームが10cmほどの幅しかないのに、そこには1953年のメルセデスベンツ300のようにトルクロッドがないのである。

アッパーアームはどこにあるのだろうか。このデザインでは絶対にアッパーアームがなければサスペンションとして作動しない。しかし、よくそのサスペンションを見ると、ドライブシャフトのジョイントは等速ジョイントではなく、プロペラシャフトなどに使われるクロスジョイント(ユニバーサルジョイント)である。このジョイントは軸方向にスライドしないから、前後をしっかりと固定すれば、サスペンションのアームとして使えることが分かった。

そう、ドライブシャフトがアッパーアームの代わりをしているのだ。すごい設計である。日本人にはとても発想できないスタイルだろう。もちろんスポーツカーで、サスペンションストロークが少ないから、これを可能にしているが、タイヤの幅(確か245255)に関係する走行上の問題点を、これでカバーできればそれでいいのである。

トルクロッドのないこのようなサスペンションでは、走行中のタイヤに加わる力で、タイヤは前後に大きく動き、クルマの中心に対するトーの変化は非常に大きい。にもかかわらずクルマの挙動安定性には問題が生じない。もちろん、このトー変化は一瞬のことであり、瞬間的に元の正しい位置にタイヤは戻ることになる。ということは、一瞬のトー変化はクルマの挙動安定性に問題を与えないと言うことである。

特にデフを中心にした左右のトータルトーにおける、一瞬の変化は問題にならないようで、日本車にも同じような動きになるサスペンションを持つクルマがある。それは、三菱のデリカ・スターワゴンである。もちろんリヤサスペンションでの話だ。

リーフリジッドのサスペンションなのだが、スプリングの前側取り付けに使われるブッシュは前後方向に大きく、楕円の形をしている。そして、そこにはNVH性能を向上させる目的で造られた、大きなスグリがある。しかし、このスグリがNVHだけではなく、クルマの走行安定性にも大きな影響を与えていたのだ。

リーフスプリングの前側取り付けブッシュにスグリがあるということは、走行中にクルマの中心から見た瞬間的なトーの変化が起きる、ということである。ただし、クルマの中心から見た場合ではトーの変化が起きているのに対し、左右合わせたトータルトーで見ると、変化していないのである。左右がつながったりジッドサスペンションなのだから当然のことではある。

2015年1月24日土曜日

白バイの役目は取り締まり、それとも事故防止。事故防止が重要だと思うが


1月始めだったと思うが、九州方面の女性白バイ隊員の活躍(???)を取材したものが流れていた。

確かに彼女のライディングテクニックはすごい。ウエットな状態であるのにもかかわらず、1300ccフル装備した白バイを、鋭い感性をフルに使い、リヤが滑り出すことを計算しながら、パイロン走行を転倒せずこなしてしまう。

運転訓練では、転倒という恐怖感を克服するため、恐怖・転倒ということに意識がいかないよう、数え切れないほどの転倒を経験させ、いわば自己洗脳するまで徹底的に乗り、転倒という文字を頭から消し去るような状態にするのだから、自分中心での走るテクニックはすごくなる。

ここまでは良かったのだが・・・

彼女の取り締まり取材が行われた。スピード違反車両や携帯電話使用を見つけ、追尾して違反切符を切ることは、事故を未然に防ぐ行為なので、認めるとしても、問題は、事故が多い場所での取り締まり方法。

事故の多いT字路で一時停止、安全確認をしない違反車両を隠れて張る。

もちろん違反車両は取り締まれるのだが、事故を起こす前の、安全を確認させる状況にはならない。

隠れていることで、違反車両(とは限らないが)による事故の起きる可能性は高い。事故は少しも減らない。

事故が起きてから、逃亡車両を検挙できるだろうが、それは事故防止ではない。

白バイが、見える状況で周辺に停車していれば、当然違反車両はなくなる(事故も、違反車両についても絶対ゼロではないが)。

もし、隠れて取り締まっている最中に、白バイ隊員(テレビの取材であると女性)の親族、それも自身の家族や子供が、優先道路通行中でも、その事故に巻き込まれたら(場合によっては死亡事故)、それでいいのか?

白バイが(パトカーでも同様)、その道路近くで、見えるように止まっていたら、このような事故は、起きる可能性は少ない。

でも、隠れて取締りを行っていたとき、事故が起きてしまった場合に、その白バイ隊員は「自分の行動は間違っていなかったのだろうか、いや、事故なのだからしょうがない」とあきらめられるのだろうか。自己嫌悪に陥らないのか。

元交機隊の友人は、当時の白バイ乗務で、「事故を未然に防ぐには、自分達がどのような立場で、どのような行動をとればいいのか、いつも気にしていた。事故の多い場所で、違反車両を隠れて取り締まるのは、事故を防げないのでやらない」と話していたが。

2015年1月12日月曜日

国土交通省と警察に物申す


クルマやバイクの前方に取り付けるライトの色についてであるが、赤以外で300カンデラ(これがなかなか難しい。夜間なら見える社幅灯の明るさであるという)までなら認めるというのだが、どうもこの決まりがいい加減というか、見てみない振りというか、既得権?(法律でこれはまずいはず)で、堂々とまかり通っている状況が街のそこかしこに走り回っている。

ライトの明るさに関係なく、赤はダメ、といっているのに、赤が前方からハッキリと見える普通のクルマがあるではないか。

それは、タクシーの「空車」という表示。

これ、どう見たって赤でしょ。なにに何のオトガメもなし。

続々と駅に戻るタクシー。フロントウインドウの中にある空車の表示は、全て赤である。これいいの?
昨年だったと思うのでが、関西方面のカー用品店に、その筋の役人が乗り込み、店頭に並ぶドライブレコーダーにイチャモンを付けた。「ドライブレコーダーが作動中に点灯する赤色LEDが前方に向いて取り付けてあるものは、撤去せよ」というような内容だったらしい。

ウッ、確かに赤色を前方に向けて点灯させてはいけない法律があるので、その筋の役人が指導したことに文句は無いが、その赤色LEDは僅かに見える程度(カメラが作動中ですよ的な)で、停車中で夜間でも注目しなければわからないもの。

それに引き換え、タクシーの「空車」文字は、遠くからでもハッキリと見える状態。

赤色は、明るさに関係なく点灯すると違反のはずなのに、何故これが見逃されているのか、理解に苦しむ。昔は色が違っていたように思うのだが。それとも特別に、利用者のことを考えて、遠くからでもよくわかるように、タクシーの「空車」表示は、赤でOKとなったのか?